世界的な流行となったChatGPT

米国OpenAI社が2022年11月にローンチした対話型の生成AI「ChatGPT」は、自然な言語での対話で、質問への回答や文章作成が可能であり、幅広い分野に応用が出来ることから、世界的なブームとなりました。

その性能の高さと使い勝手の良さから、多くの企業や国、地方自治体などの公共セクターで、業務の生産性向上に寄与することを期待し、導入やその検討を進めています。

その一方で、OpenAIが入力された内容をサービス向上等のために利用することを明示していることや、個人情報や機密情報の漏えいリスクが伴うことから、全面的な禁止や、一定の制限下での利用ルールを設ける組織もあるというのが現状です。

流行の裏側で悪用事例が登場

このような新しい技術の登場は、新たなサイバー攻撃の標的となりがちです。ChatGPTもその例に漏れず、サービス開始から半年を待たずに、すでに悪用した事例が登場しています。

ChatGPTはAPIが提供されており、これを利用して独自のWebサービスを提供することが可能ですが、これを応用した無害のサービスとChatGPTの流行を悪用した攻撃キャンペーンとが混在となっている現状です。

例えば、ChatGPTの公式スマートフォンアプリ版が、2023年5月26日から日本で配信を開始しましたが、それ以前からApp StoreやGoogle Playには、利用料という名目で金銭を要求したり、端末上のデータを窃取する偽ChatGPTアプリが登場しています。


▲出所:https://play.google.com/store/search?q=chatgpt&c=apps&hl=en

また、ChatGPTと瓜二つの偽サイトに誘導し、偽のデスクトップアプリケーションをダウンロードさせてマルウェアを感染させる手法や、ブラウザの機能拡張形式で偽ChatGPTプログラムを配布するキャンペーンが登場しています。


▲出所: https://www.helpnetsecurity.com/2023/02/23/chatgpt-windows-android/

さらに、ChatGPTを継続利用するには、アカウント設定変更が必要だと語り、攻撃用のWEBサイトに誘導するフィッシングメールキャンペーンも観測されています。

Palo Alto Networksの調査によると、2022年11月から2023年4月上旬にかけて、ChatGPTに関連するドメインの月刊登録件数は910%増加し、URLフィルタリングによって、1日で最大118件のChatGPTに関連する「悪意ある」URLを検出したとされています。マルウェアを配布するChatGPTに類似したドメインの例として、 chat-gpt-windows[.]com、chat-gpt-online-pc[.]com、chat-gpt-pc[.]online、chat-gpt[.]runなどが挙げられています。


▲出所: https://unit42.paloaltonetworks.jp/chatgpt-scam-attacks-increasing/

これらのサイトでは、端末上のデータやクレデンシャル情報などを窃取する「Redline」や「Lumma」といったインフォスティーラーや、「Bumblebeeローダー」などの多機能型マルウェアを配布するキャンペーンが観測されています。特に、Bumblebeeローダーはランサムウェアの配布に使用される場合もあるため、情報窃取だけでなく、これを起点としたさまざまなサイバー攻撃被害につながるリスクがあります。

まずは基本的なセキュリティ対策から

では、このChatGPTブーム乗じたサイバー攻撃キャンペーンに対してどのような対策を取れば良いのでしょうか。その答えは、他のサイバー攻撃と同様に「基本的なセキュリティ対策をしっかり行う」ということです。

まずは、社内におけるChatGPTの使用ルールの明確化と周知を行います。冒頭にも述べたとおり、ChatGPTには利用による情報漏えいリスクもあることから、社内での利用方針を策定し、従業員に対しリスクとルールを周知徹底することが重要です。

また、必要に応じて、ChatGPTを装う悪意のあるWEBサイトへのアクセスやアプリケーションのインストールを防止するために、URLフィルタリングやアプリケーションコントロールなどの技術的な対策を講じることを推奨します。

さらに、誤ってマルウェア感染してしまうことも想定し、迅速な検知とブロック、対応を行うための「EDR(Endpoint Detection and Response)」をはじめとする、エンドポイントセキュリティの強化を行うことで、ダメージを最小限にとどめる対策をお勧めします。

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