サイバーリーズンが制作したドキュメンタリー映画「The Defenders」

サイバーリーズンではこのほど、「The Defenders」というタイトルの短編ドキュメンタリー映画を制作しました。

「なぜセキュリティソフトウェアベンダーが、映画を?」

多くの方が、きっとそう思うことでしょう。

「どうせ、自社製品の宣伝のために作ったんだろう」

そう考える方も少なくないはずです。

しかし、この映画の中にサイバーリーズンの従業員は確かに何名か登場しますが、製品の名前は一度も登場しません。それどころか、社名すらほとんど登場することがありません。では一体、何のためにサイバーリーズンはこの映画を作ったのでしょうか?

この映画のタイトル「The Defenders」の邦題は「防御者たち」です。このドキュメンタリー映画は、特定の企業や製品について紹介するものではなく、情報セキュリティの世界で日々サイバー攻撃と戦い続ける「防御者たち」にフォーカスを当てて、彼ら・彼女らの知られざる活躍ぶりを世に紹介したいという思いから制作されました。

しかも登場するDefendersの面々は、かつて世界中を震撼させた大規模なセキュリティインシデントの対策に、第一線で奔走した技術者たちです。例えば本作では、2016年にサンフランシスコ交通局のシステムがランサムウェアに感染した事件を取り上げていますが、当時まさに最前線で対策の指揮を取った担当者が登場し、現場の切迫した様子を生の声で赤裸々に語っています。

また、2014年に発生したソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントに対するハッキング攻撃の舞台裏も、本作では紹介されています。当時は報道等で「北朝鮮による犯行では?」との憶測が流れましたが、実はその舞台裏では、本件は単なる一民間企業に対するハッキング事件という枠をはるかに超え、米国政府を巻き込んだ極めて大掛かりな調査や対策が繰り広げられていたのです。

本作では、当時最前線で対策に当たった担当者にインタビューを敢行し、「次は米国全土のインフラが標的にされるのでは?」「本格的なサイバー戦争勃発の前夜か?」という、当時の極めて切迫した状況が語られています。

世間に知られることがないセキュリティ技術者の活躍に光を当てる

現在日本のセキュリティ業界では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、サイバー攻撃がさらに激化するのではないかとの懸念が高まっていますが、本作では2012年に開催されたロンドンオリンピック・パラリンピックでサイバーセキュリティ対策の責任者を務めた人物にも、当時を振り返って舞台裏を語ってもらっています。

ロンドンオリンピック・パラリンピックでは、閉会後しばらく経ってから「実は世界中から多数のサイバー攻撃を受けていた」ということが判明しましたが、本作を見れば実は私たちが当時思っていた以上に、現場は緊迫した状況に置かれていたことが分かることでしょう。

さらに本作では、2013年にニューヨーク・タイムズが発表したサイバー攻撃の被害についても、当時の担当者へのインタビューを通じて切り込んでいます。当時の担当者たちが、「果たして、被害を公表すべきかどうか」について悩み抜き、ぎりぎりの状況下で対策に奔走していた様子が、生々しい証言を通じて明らかにされています。

このように「The Defenders」では、世界を震撼させた数々のセキュリティインシデントの裏側で、最前線に立ち攻撃者と戦った人々の活躍ぶりにフォーカスが当てられています。しかし世間一般的には、こうした人々が普段脚光を浴びることはまずありません。本作に登場したDefendersたちは皆、口を揃えてこう言います。

「セキュリティ担当者の仕事がうまく運んでいるということは、すなわちシステムがサイバー攻撃から守られて普段通りに動いているということです。つまり、Defendersたちの仕事ぶりが世の中から評価される機会は、普段はめったにありません。逆に言えば、セキュリティインシデントが発生したときぐらいしか、Defendersたちの存在が世の中に認識されることはないのです」

サイバーリーズンは情報セキュリティにかかわる企業として、こうした状況を変え、普段は脚光を浴びることのないセキュリティエンジニアの活躍ぶりを広く紹介したいという思いから本作の制作に至りました。作品中でヒーローとして紹介されているDefendersは、実は皆さんの身近にもたくさんいるのです。そうした人々の影の努力と献身によって、私たちの生活インフラが日々守られているということに、ぜひ思いをはせていただければ幸いです。

またこれ以外にも本作品では、登場人物たちがセキュリティ専門家を志すに至った背景や若き日のエピソードなど、Defendersたち個々人にフォーカスを当てた物語や、情報セキュリティ全般の歴史の紹介など、多くの見所があります。ぜひ楽しんでご覧いただければと思います。