今日のデジタル社会では、サイバー攻撃の脅威は常に存在しており、しかもかつてないほど増加しています。

企業規模を問わず、サイバー攻撃の危険性と進化し続ける攻撃を免れる者は誰もいません。テクノロジーが進歩するにつれ、攻撃者がセキュリティシステムに侵入し機密情報を窃取する手法も進歩しています。このような大金を賭けた「いたちごっこ」的な勝負が続く中で、人工知能(AI)の利用は、サイバー脅威との闘いにおける強力なツールとして台頭してきました。

サイバーセキュリティにおけるAIの台頭

サイバーセキュリティにおけるAIの利用は、新しいコンセプトではありません。実際、それは数10年前から存在しており、最初のAIベースの侵入検知システムは1980年代に開発されました。従来、サイバーセキュリティはルールベースのシステムに依存しており、脅威を検知して防御するために特定のルールが設定されていました。

しかし、データの急激な増加とサイバー攻撃の高度化に伴い、ルールベースのシステムでは高度なサイバー脅威の検知と防御が不十分であることが判明したため、サイバーセキュリティにおけるAIの必要性がかつてないほどに高まっています。そこで登場したのが大規模言語モデル(LLM)とAIです。AIシステムは、膨大な量のデータのリアルタイム分析や、パターンの特定、さらには驚くべき速さでの意思決定を可能にするため、サイバー攻撃の検知と防御にとって非常に効果的です。

脅威の検知と対応においてAIと機械学習が担う役割

サイバー脅威の複雑化と高度化に伴い、ファイアウォールやウイルス対策ソフトウェアのような従来のセキュリティ対策では、最新の高度な攻撃から十分に身を守ることができなくなっています。一方、機械学習アルゴリズムを使用したAI搭載のサイバーセキュリティシステムは、ネットワークログ、ユーザー行動、脅威インテリジェンスフィードなどのさまざまなソースから取得した大量のデータを継続的に分析できます。

AIは、パターンを特定した上で自らを進化させ、新たな脅威に適応することで、実害が引き起こされる前にプロアクティブに脅威を発見し、それを阻止することを可能にします。AIを使用すると、セキュリティチームは脅威に優先順位を付けた上で、より効果的に対応できるようになります。

また、特定のタイプの脅威への対応を自動化することをAIと組み合わせると、セキュリティチームにかかる負担を軽減し、チームがより重要なタスクに集中できるようになります。サイバーリーズンが2023年に実施した調査によると、回答者の58%が、特にセキュリティオペレーションセンター(SOC)におけるスキル不足を踏まえた上で、AIと自動化を業務に取り入れることに前向きであると回答しています。AIの持つ可能性は真に画期的なものであり、それはサイバー攻撃から身を守る方法を一変させます。

AIがもたらすメリット

急速に変化する今日のデジタル環境では、たった一度のサイバー攻撃により、数分のうちに取り返しのつかない損害を被る可能性があります。AIがもたらす最大のメリットの1つとして、AIシステムが脅威を検知して迅速に対応できることが挙げられます。

AIを使うと、人為的ミスが入り込む余地を削減できるほか、システムは膨大な量のデータを素早くふるいにかけて、人間のアナリストでは気付かなかったような脅威を特定できるようになります。高度なアルゴリズムと機械学習を活用することで、AIテクノロジーは、さまざまなタスクやプロセスの合理化と自動化を行い、人的介入の必要性を低減できます。時間とコストを節約することで、より高いレベルの効率性と生産性を達成でき、さらに本来の重要な作業に集中できるようになります。

多くの企業がサイバーセキュリティ戦略にAIを取り入れる中、サイバーリーズンの「Cybereason Defense Platform」が革新的かつ包括的なアプローチで際立っています。AIを搭載したプラットフォームは、サイバー攻撃をリアルタイムで検知して、それに対応するように設計されています。Cybereason Defense Platformは、AIアルゴリズムを使用することで、企業のインフラ内に存在するすべてのエンドポイント、ネットワーク、サーバーから得たデータを継続的に監視して分析します。これにより、不審な活動や潜在的な脅威を早期に検知し、重大な被害をもたらす前に攻撃を阻止できるようになり、セキュリティチームを攻撃者よりも優位に立たせることが可能となります。

懸念と限界への対処

サイバーセキュリティにおけるAIの利用がもたらすメリットは明らかですが、その一方で、考慮しなければならない重要な懸念や限界もいくつか存在しています。

例としては、経済的なコストや必要となるリソース、潜在的なエラー、そして倫理的な影響などが挙げられます。AIを利用する際の初期投資は、従来の方法に比べるとより高くなる可能性がありますが、AIを利用したサイバー攻撃の防御により得られる潜在的なコスト削減効果は、この費用をはるかに上回るものです。ただし、AIテクノロジーはまだ初期段階にあること、そしてAIを活用したセキュリティシステムの開発、既存システムとの統合、そして保守に必要となる専門知識を持つ熟練した専門家が不足していることをはっきりと認識することが極めて重要となります。これらの懸念に対処することは、多くの場合、複雑で時間のかかるプロセスとなるため、それには入念な計画と調整が必要となります。

サイバーセキュリティ分野におけるAIの開発と利用においては、倫理とプライバシーに関するガイドラインの導入が不可欠となります。つまり、AIがエラーを起こすことや、サイバー攻撃者に悪用されることの潜在的なリスクを考慮することが必須となるのです。サイバーリーズンは、AIアルゴリズムを常に強化しつつ、多層型のセキュリティ対策を実装することで、これらの懸念を和らげています。

サイバーセキュリティにおけるAIの未来

サイバーセキュリティにおけるAIの活用は今もなお初期段階にあり、今後もその進化と改善が続けられることは間違いありません。サイバー攻撃者がより巧妙になるにつれ、AIシステムもまた洗練されたものとなり、それは最も複雑なサイバー攻撃でさえも検知して防御するように設計されることになるでしょう。回答者の61%がAIの自動化への投資に関心を示していることからも分かるように、自社のデータと資産を保護するためにAIを活用したサイバーセキュリティソリューションを採用する企業が増えるのは必至だと思われます。

サイバーリーズンのバイスプレジデント兼グローバルフィールドCISOであるGreg Dayは、将来、AIが人間の介入なしに自律的にサイバー脅威を防げるようになるとさえ予測しています。これはSF映画に出てくるような話に思われるかも知れませんが、AIテクノロジーの急速な進歩を考慮するならば、それほど荒唐無稽な話ではありません。

サイバーセキュリティにおけるAIテクノロジーの統合が、サイバー攻撃との闘いに革命を起こしたことは間違いありません。サイバーリーズンによる最近の調査によれば、回答者の圧倒的多数である86%が、セキュリティ対策にAIツールを活用していることが明らかになっています。サイバーリーズンはこの革命の最前線に立っており、高度なAIアルゴリズムを利用して、リアルタイムでの脅威の検知と対応を実現しています。

今もなお考慮すべき懸念や限界は存在しているものの、AIを利用したサイバーセキュリティがもたらすメリットは誰の目にも明らかです。企業や組織は、高度なAIツールを利用することで、いかにサイバーセキュリティ能力を強化できるかを知る必要があります。また、そのようなツールを利用することで、いかに業務を合理化し自らの目標を達成できるかを学ぶ必要もあります。時代を先取りし、かつAIの持つ可能性を受け入れることで、私たちは、サイバー攻撃者の一歩先を行き、今や私たちが生活する上で不可欠な場所であるデジタル世界を保護できるようになるのです。

【調査結果レポート】2024年版 ランサムウェア 〜ビジネスにもたらす真のコスト〜

サイバーリーズンでは、1,008名の企業のIT担当者を対象に、2024年度のランサムウェアがビジネスに及ぼす影響に関するグローバル調査を実施しました。

本レポートでは、詳細な調査結果を紹介するとともに、企業がとるべき対策として6つの核となる課題を取り上げて、それぞれの課題に対する推奨対策について紹介しています。

https://www.cybereason.co.jp/product-documents/survey-report/11873/